消費者契約法は、その第1条に「消費者と事業者の間には情報の質及び量並びに交渉力の格差」が存在することを前提として掲げ、その格差を埋めるための
施策の一つとして適格消費者団体の制度を定めています。
その格差があるゆえに、一人一人では声を上げる事のできない多くの消費者に代わって、世の中の不当な契約条項や不適切な表示などを正していただくよう事業者の方々に申し入れをしていくことが、私たち適格消費者団体の一つの大きな役割です。
しかしながら、それは決して事業者の皆様と対峙することを意味するのではなく、誤りを正すよう要望し、それに真摯に応えていただくという過程を通じて、ともに公正な消費社会を築いていくという共通の目的を達成することを意味するものだと考えています。
幸い、これまで多くの事業者の方々においては、使用されている約款や契約の中で法的問題のある条項の修正をお願いしたところ、これを受け入れ、修正していただくことができております。
日々目まぐるしく変わりゆく社会情勢の中で、それに対応するように法規制もまた次々改正されていきます。コンプライアンス重視の経営をされている事業者の方々も、時としてこれを見落としたり、法令の解釈を誤ったりすることもあるかと思います。
ぜひ、私たちの声に真摯に向き合い、ご対応いただくことを望みます。
また、ご賛同いただける事業者の皆様の入会、並びに賛助金・寄附金等のご支援を賜りたくお願い申し上げます。
以下に、これまで私たちが事業者の皆様に修正を申し入れ、対応いただいた事例をお示しします。
もし、皆様の使用する約款や契約条項の中に、下記と同様の記載があるようでしたら、見直しをお願いする次第です。
*( )内は修正等を求める根拠となった消費者契約法の条文示しています
*問題があるとして指摘したポイント部分を赤色で表示しています
*なお、趣旨を変えない範囲で、原文を省略するなど加工しています
◆明け渡しの際、経年劣化および自然損耗による住宅設備や建具等の修理とクリーニングは、本契約時に貸主が借主から受領した定額補修費にて行うものとする。(第10条)。
◆借主が次の各号のいずれかに該当したときは、貸主は、何らの催告を要せず当然に本契約を解除できるものとする。
(7)後見開始、保佐開始もしくは補助開始の審判を受けたとき(第10条)
*なお、本条項については、その後の平成30年改正消費者契約法の第8条の3にて明文で無効とされるに至りました
◆借主が賃料未払いのまま行方不明(失踪)、または無断不在が30日以上に及び何らの連絡もない場合、(略)・・貸主は一方的に本契約を解除することができる。(第10条)
◆(上記の場合)貸主は、随時に室内遺留品一切を任意の場所に保管し、・・・相当期間を経過しても連絡ない場合、貸主はその遺留品を任意償却することができる。(第10条)
◆入出庫の際は、プレートが下降していることを必ず確認してください。・・(略)・・・
万一車両が破損しても、一切責任は負いません。(第8条第1項)
◆〇〇(事業者名)は会員ビジターが、施設利用中に生じた盗難、障害等の事故については一切責任を負いません。但し、〇〇に故意または重過失があった場合はこの限りではありません。(第8条第1項)
◆会員は、同伴又は紹介したビジターの施設内における行為及び〇〇に対する支払い並びに事故等の一切につき連帯責任を負うものとします。(第10条)
◆学納金の返還について
入学辞退締切日(平成●年度)①前期2月17日 ②中期3月3日 ③後期3月31日 ①~③の各締切日までに入学辞を申し出た場合入学金を除く学納金を返還いたします。(第9条第1項)