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消費者のみなさまへ

消費者被害にあわないために

世の中には事業者から提供される様々な商品・サービスがあり、消費者である皆様は、そうした商品やサービスを消費・利用することで社会生活を営んでいます。皆様が商品を購入したり、サービスの提供を受けたりする場合、皆様は事業者と必ず「契約」をしています。すべての商品・サービスが真っ当なものであればよいのですが、事業者から提供される商品・サービスの中には、性能に瑕疵のあるもの、効能に疑義のあるもの、購入前やサービスの提供前にきちんとした説明がされていないことなど契約に問題があると思われるものもあり、皆様がそうした内容を知らずに不当な契約を結ばされてしまうことがあります。
不当な契約であれば、それを解除して商品代金やサービス利用料の返還がされればよいのですが、不当な商品やサービスを提供する事業者は、あの手この手で返還を免れるよう事業者に有利な契約を結ばせようと画策しています。また、そうした事業者ほど百戦錬磨であることから、素人である皆様が戦いを挑んでもそうそう勝てる相手ではなく、泣き寝入りをせざるを得ないことがほとんどでしょう。それに加え、そうした商品・サービスは一つをとると少額・低額であり、法律の専門家に頼んで被害回復を図ろうにも費用対効果の観点から二の足を踏むことも多いことでしょう。そして、また被害にあわれる方が出るという悪循環が続くことになってしまいます。
こうした悪質な事業者に対して取り得る有効な手段は、そもそも皆様がそうした不当な契約を結ばされないために、事業者の用意する契約書について、不当な契約条項の訂正や削除を求めていくことが有効です。これを「差し止め請求」といいますが、この差し止め請求権を行使することができる団体が私たち「適格消費者団体」です。

適格消費者団体とは

 不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために差止請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人です。現在全国に22団体あり、「消費者支援かながわ」もその一つです。
 なお、これまで適格消費者団体による差止請求訴訟は、78の事業者に対して提起されています。(令和3年11月末現在)

特定適格消費者団体とは

 適格消費者団体のうちから新たな認定要件を満たす団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人を「特定適格消費者団体」といい、現在全国に4団体(消費者機構日本、消費者支援機構関西、埼玉消費者被害をなくす会、消費者支援ネット北海道)あります。
 特定適格消費者団体は、「差止請求」に加え、「被害回復」を求めて訴えを提起することができ、これまで5の事業者に対して共通義務確認訴訟が提起されています。
(令和3年11月末現在)

差し止め請求って何?

 事業者の不当な行為に対して、それをやめるよう求めることのできる制度です。
 具体的には、「消費者契約法」「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する行為、つまり商品の販売やサービスの提供に際し、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」があった場合、それを正すよう事業者に申し入れます。
 事業者が私たちからの申入れに応じない場合、法律に違反する契約書の条項や約款、広告表示、勧誘をやめるように求めて訴えを提起します。
 では、私たちはどのような場合に差し止め請求をするのでしょうか。
 わかり易い事例を紹介します。
(1)不当な勧誘
 「不実告知」
  重要事項について事実と違うことを言う
  【例】住宅用の土地について「近くに崖があるが、全く問題ない」との説明を信じて契約したが、その土地は崖地に接近していてそのままでは考えている住宅が建てられない上に擁壁の設置も必要であった。
 「断定的判断の提供」
  将来の変動が不確実な事項について確実であると言う
  【例】将来値上がりすることが確実でない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売する。
 「不利益事実の不告知」
  利益になることだけを伝え、重要事項について不利益なことは故意または重大な過失によって伝えない
  【例】眺望・日照を阻害するマンションの建設計画があることを知りながら、そのことを説明せずに「眺望・日当たり良好」と説明して販売する。
(2)不当な契約条項
 「事業者は責任を負わないとする条項」
  損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償の一部を免除する条項
 【例】「いかなる理由があっても一切損害賠償責任を負わない」
     「事業者の責めに帰すべき事由があっても一切損害賠償の責めを負わない」
     「事業者に故意または過失があっても一切損害賠償の責めは負わない」
 「どんな理由でもキャンセルできないとする条項」
 【例】「購入後は、いかなる理由であってもキャンセルできません」
 「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等」
 【例】結婚式場の契約における「実際の使用日の1年以上前にキャンセルする場合には契約金額の80%を解約料として支払う」
(3)不当な表示
   健康食品の広告に、効能の実証もデータも根拠もない利用者の体験談をねつ造して
「食べて病気が治る!」と表示する。
   常に同じ報酬で仕事を請け負っているのに、「今なら半額!」と表示する。

消費者を守る法律

 消費者契約法は、消費者を悪質な勧誘や不当な契約から守り、契約のキャンセル(取消し)などをできるようにしている法律です。
景品表示法は、虚偽広告、誇大広告などから消費者を守るための法律です。
特定商取引法は、訪問販売・電話勧誘販売、通信販売、マルチ商法、内職商法などから消費者を守り、クーリング・オフを定めている法律です。
食品表示法は、食品偽装から消費者を守るための法律です。
適格消費者団体は、これらの法律に違反する行為を止めさせる役割を担っています!

~被害にあわれたり、トラブルを経験されたりしたら、是非その情報を提供してください~